松永のつぶやき Feed

2023年8月19日 (土)

大学生の考える力の低下が問題視され、「考えさせる問題を入試で出題するように」とお達しが出て久しいものの、考える事が苦手な学生さんが一向に減らないのが現状です。

考える事も、説明することも不得手な学生さん

ある日、ある学生さんと卒業研究について議論をしていると、「考えたら負け」と強く念じてこれまで頑張ってきたのに、という発言が出てきました。

詳細はこうです。「考えたら負け」と暗記に専念して大学入試に取り組んで来たのに、大学に入学した途端、「自分の頭で考えるんだよ」と言われても、何をどうしたら良いか分からないというのです。実は私、「考えたら負け」の意味が分からず、どういう意味?と思わず質問しました。考える事が不得意な上に、自分の考えを説明するのも不得手なこの学生さんの言うことを理解するのは大変なのですが、じっくり話を聞いて、私が理解したのは以下の様なことでした。

「考えたら負け」とは?

例えば、物理の公式を勉強する際、公式は暗記するものであり、どうしてこのような公式が導かれたのかについて考えるのは、時間の無駄である、ということの様です。

そういえば、私の高校時代にこんなことがありました。

私は、物理を学ぶ事も応用することも大好きです。そんな私ですから、物理の法則は全て深く理解しようとします。ある日、ドップラー効果について、いつものように時間をかけて延々と理解する事(考える事)に時間を費やしていると、通りがかった同級生が「そんな事に時間をかけて馬鹿じゃない!公式は暗記すれば良いでしょ。考えるのは時間の無駄だ」と私に言うのです。あれから長い歳月が流れ、ようやっと同級生が言うことも、卒研生の言うことも理解出来た様な気がします。実はこの高校時代の話にはオチがあります。同級生からの「馬鹿じゃない」発言から数ヶ月後、大学入試模試があり、物理の問題としてドップラー効果の原理に関連した考えされる問題が出題されたのです。物理の教員の後日談によると、この問題に正解したのは私だけだったそうです。大学入試本番で出題された物理の問題も、難易度の高い問題で、噂ではほとんどの同級生が苦労したそうです。そんななか、「私は物理満点」と両親に報告し、無事、合格し今に至っています。

本当に時間の無駄だったのか?

物理の法則を深く考えることに時間をかけた私の高校時代ですが、本当に時間の無駄だったのでしょうか?私が、科学者として世界の第一線で活躍できているのは、考える事に時間を費やしたからだと自負しています。

しかし、学生達はこう話を続けます。

自分は科学者は目指していない。良い大学に入って、良い就職先に就職できれば、人生安泰。安泰な人生を手に入れる事が一番大事なんだ、と。

安泰って何なんでしょうね?安泰な人生については、また今度議論しますね。

人生は判断の連続

人生って選択とその判断の連続だと思います。子供のうちは、判断を他人(親を含む)に委ねることが多く、他人に委ねさえすれば、判断が間違っていたとしても、その責任を他人に押しつければ良いので、判断の重さを実感できないかもしれませんね。でもよく考えてみてください。物理の公式を暗記するか、それとも理解する事に時間を使うかの選択だって、判断ですよね?その判断の根拠が何であれ、暗記することに徹すると判断し選択したのは、その人自身です。

他人の判断に人生を委ねるのか?

他人の判断に全てを委ねた人生って安泰なんですかね?だったら、ああしなさい、こうしなさい、言うことを聞きなさい、と親や先生に言われても、反抗できませんよね。でも、多くの学生が、言いなりは嫌だと反抗する。だったら、自分で判断して選択する人生を歩んだらどうですか?

自分で責任を負いたくない事は他人に判断させ、都合の良いときだけ自分の勝手だと反抗する。そんなの、身勝手にもほどがありませんか?

判断するには考える力が必要

今の大学生はデジタルネイティブ世代だと言われています。(ちなみに、世代は違いますが私もデジタルネイティブです。特殊ではありますが、物心ついた時には、コンピュータもネットも身近にあり、それらをおもちゃにして育ちましたから。)私の目には、デジタルネイティブ世代は、ネット上にある情報に頼りきった世代だとうつっています。大学入試で暗記したことは、ただ暗記したことなので、すっかり忘れてしまい、考える力が無いので、学んだ事を応用して考えることもできず、レポート課題の答えをネットで探し、鵜呑みにして丸写しする、そんな世代ですね。だから、ネット上に書かれていることの正否も判断できない。判断しようとしないのかな?それとも、判断できないのか?

判断するには考える力が必要なんですよね。だから、結局、身につけるべき力は、考える力が一番重要なんです。だったら、暗記することに時間を費やすより、考える事に時間を費やした方が良いのだと私は思います。

だって、高校時代を暗記することばらかに時間を費やした結果、考える力も養えず、暗記したことはすっかりわすれてしまう訳ですから、とても無駄な時間だったと言えません?「でも良い大学に入れたじゃないか!無駄じゃない!」と反論します?でもさ、その良い大学も学部や学科も、考えずに決めたでしょ?適性が無い学部学科に進んでも、大変な思いをするのはその人で、大変な思いをした割には単に卒業しただけになり、そんな4年間って無駄なような気がしません?いえいえ、良い会社に入れたんだから良いんですって?うーん、延々と堂々巡りのように私には思えます。だって、良い会社って誰の判断ですか?他人様の判断であって、自分の人生が歩める会社かどうかは判断してないでしょ?

自分で考え判断し、そして自分の人生を歩む

ある学生さんが国際会議で発表するチャンスを得たときの事です。こんなご時世ですし、早めに保護者から海外渡航の許可を得ておいてくださいね、とこの学生さんには伝えていました。しかし、この学生さん、まさか自分の親が海外渡航に反対するなんて思いもしなかったのでしょうね、それまで「頑張ります」とやる気満々だったのに、渡航するか否かの最終判断をする時期になって突如、「親が反対するので行かない」と言い出したのです。それ以降、この学生さん、何もかも投げやりで。。。

親が反対する理由はコロナ感染が怖い

うーん、「海外渡航はコロナ感染が怖いからダメだ」なんて、このご時世にネット上に書いて良いのだろうか?と正直判断に迷うくらい、「不適切な発言」ですよね。

何をもってこんな判断したのか?そして、20代半ばにもなって、自分では判断せず、他人の判断をうのみにしてただ従うだけってね。

きっと、この学生さん自身も、違和感を感じたから、やる気を喪失したのではないかと思うわけです。

可愛い子には旅をさせよ

判断を間違っていいじゃないですか。旅先で失敗しても良いじゃないですか。その結果、考える力と判断力がつけば。だから昔から、可愛い子には旅をさせよ、というんでしょ?人生長いんです。その人生を自分で考え判断し、自分自身の人生として歩むことこそが一番重要なことなのではないかと。

2022年12月31日 (土)

はやいもので、今年も年末となりました。(今年は令和4年、西暦2022年です)

今年も多くの方と出会えましたこと、そして多くの機会に恵まれましたことを感謝申し上げます。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、対面でお話しする機会が激減しておりましたが、多くの方々と、はじめまして、や、お久しぶりです、と言葉を交わしながら対面でお話することができました。特に、異分野で活躍される方々と、知識を共有できましたことが今後につながっていくと実感できる1年でした。

名刺交換をしてくださった方々の中には、私のこちらのホームページを閲覧し、私のつぶやきを丁寧にお読みくださった方々も多くいらっしゃいました。本当に有り難い事で、感謝です。来年は、頑張って更新していきたいと思いますので、思い出したら閲覧してくだあいますと幸いです。

※なお、セキュリティ強化の為、Google等の検索エンジンを使って「松永真由美」を検索しても本ホームページはヒットしない設定にしています。静岡大学などの研究者情報Webに掲載の本ホームページのURLリンクからたどってください。

学内イルミネーション

12月になると、学内の木々をLED照明で彩る学内イルミネーションが始まります。国立大学の場合、広報不足もあって、このイルミネーションの企画意義が理解されていないのが現状です。そのこともあり、今日はこの学内イルミネーションについて書きたいと思います。

私が静岡大学に移動したのは2021年4月ですから、それ以前の事は知りませんが、昨年12月頃もLEDイルミネーションが静岡大学浜松キャンパス構内を彩っていました。その頃、学生さんにこんな事を言われました。「あれって何なんでしょうね?何故あのような事にお金をかけるのか理解できない。無駄だと思うのですが」といった内容の言葉をかけられたのです。

【写真】2022年12月の静岡大学浜松キャンパスイルミネーション↓

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このイルミネーションは、「コロナ禍にあって、早期の終息と学生、教職員のみなさんの心が温まるよう、浜松工業会様(同窓会組織)の助成を得て今年もイルミネーションの点灯を行うこととなりました。」とのことです(事務方からの連絡を引用)。

【写真】そういえば、2017年4月から2021年3月まで私が勤めていた大学も学内イルミネーションを実施していました。↓

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こちらは企画意義は公表されていなかったように記憶していますが、この時期学内を歩いていると、「あ~あ、この設置費用に高い授業料が使われている。こんな事に使って欲しくないよな~」と大きな声を出す学生さんもちらほらいました。

きっとですが。。。

新型コロナウイルスが蔓延したり、経済状態が悪化したり、気持ちがすさむ今日この頃、暖かな光が少しでも人々の心を柔らげる助けになれば、との願いを込めたイベントなのでしょう。そういう意味では、お金の事が気になる人々にも、「何これ?」と「疑問」という刺激を与えたことになるのかもしれませんね。

お金が何に使われるのか?それが気になって仕方なく、これを「無駄だ」と思ったのであれば、あなたの力で「有益」なことに変えてはどうでしょう?(ちなみに、私は賛成派でも反対派でもありません)

電気電子工学科の学生さんや研究者であるのならば

  • LED照明に白が多い理由
  • LED照明から発生する電磁波ノイズとその影響
  • 光が人間の心理へ与える影響と効果
  • LED光により化学変化をもたらす物質(つぶやき:ジェルネイルを読んでね)

などを考えて勉強すると、有益な時間になるのではないかと私は思います。

それでは皆様、今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします!

2022年12月28日 (水)

学生さんへ向けてのメッセージです。

緊張症を言い訳にしないで!

中間発表を終えて(詳細は、学生活動:中間発表2022を)学生達と反省会をしました。

良かったところも明確にする必要がありますが、改善すべき点を皆で議論し、これからにいかす事が重要です。何故改善すべき点が発生したのか?どうすれば改善するのか?今後改善を図るにはどのような努力が必要か?などについて皆で議論します。

学生達にとって、改善すべき点の指摘は、ダメだしに相当しますので、受け止めるのが難しい学生さんも多くいます。「自分なりには理由があったのだ」と理由を並べ立て、自分の正当性を主張する学生さんもいます。うなだれて「自分はダメだ」と落ち込む学生さんもいます。「先生が言ってるだけで気に留める必要はない」と背を向ける学生さんもいます。しかし、こんなことをしていると成長は見込めないのです。

改善すべき点を明確にし、そして、どうやって改善していくかを考えるのが成長だからです。

中間発表の様に人前でのプレゼンテーションを伴う審査を通じて、改善すべき点を指摘すると、決まって「緊張していたから」と言い訳する学生さんがいます。今日はこの「緊張」を言い訳にしても何も解決しないことを説明したいと思います。

まず申し上げたいのは、ここでお話する「緊張していた」と言い訳する学生さんですが、制限時間内に、途中でたじろぐ事も無く、研究内容について発表していますし、質疑応答にも、黙り込むこともなく自分なりには回答しているのです。本人の心理状態としては緊張は伴っていたのかもしれませんが、気絶したり、何も言葉が出てこなくなったり、といった緊張状態は全く見受けられない場合の話です。

あそこで何故あのような質問が出たのかな?その質問の意図は理解していた?あの返答で質問者は納得したとかな?

と問うと

緊張していたので分かりません。緊張していたので覚えていません。緊張していたのであのような返答をしてしまいました。緊張していたので。。。。

これって「緊張していた」を理由にして、向き合うべき問題を避けているだけなんです。

「緊張していた」を言い訳にする学生さんに私は問いたい。「緊張が改善すれば、あなたの発表内容から改善すべき点は無くなるのですか?」

緊張感は良い物ですよ。集中力が高まりますし、日頃よりも力が出る場合もあります。

緊張を言い訳に利用せず、改善すべき点を受け止め、成長して欲しい

2022年12月27日 (火)

皆様、「ジェルネイル」をご存知ですか?

また、ネイルアートの一種だとご存知の方も、その原理をご存知ですか?

工学部電気電子工学科の電磁波研究室のホームページで「ジェルネイル」?と思ってらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、そう短慮に判断せず読んでくださればと思います。

最近は日本でも爪のお手入れを欠かさない人が男女ともに多くなってきました。ネイルサロンへ行くと、男性のお客様が爪をピカピカに磨いてもらっている姿もよく見かけるようになりました。

私もネイルサロンでは主にネイルケアといって、お手入れを重視する施術を受ける事が多いのですが、たまにはカラーリングやネイルアートを楽しみたいと思います。

しかし、マニキュアはすぐに剥がれてしまいます。特に、実験を通じて手先を使った細かな作業をしたり、重たい測定機器を設置したりすることが多い私の場合、マニキュアはあっという間に無残に剥がれ落ちます。そんなマニキュアに代わり約2010年頃からでしょうか、「ジェルネイル」というものが流行だし、よくお勧めされるようになりました。今では多くの方が毎月のようにジェルネイルを楽しんでらっしゃる様子。私も体験したいなぁ~と思っていました。

新しものが大好きで、良い物は誰よりも早く体験したい私が、珍しく手を出さなかった「ジェルネイル」。理由は簡単です。ジェルネイルという名前からは、その原理が全く分からないからです。ネット検索をかけても、原理の詳細を説明をしているページはなかなか見つからない。単に、マニキュアより長持ち!早く乾くので施術時間が早い!綺麗!って書いてあるばかり。。。

そんな私にようやっと「ジェルネイル」の謎が分かる出来事が訪れました。

ジェルネイルとは、光硬化性樹脂だったのです!

主に、紫外線や可視光が使われているようです。(ここで電磁波との関連性が出てきましたね!)

この光硬化性樹脂、工業分野では大活躍。例えば速乾性の接着剤や3Dプリンターの造形樹脂としても使われています。最近は、歯科治療でも歯の修復や補強にも頻繁に使われています。

「ジェルネイル」なんて呼ばずに、「光硬化性樹脂」だって言ってくれれば、すぐに理解できるのに~と思った私。まぁ、ちまたでは、そんな名称で売り出しても売れないかもしれませんね、笑。

納得すると、早速興味がわき、年末年始だし、体験してみることにしました。

実際、爪に与える影響は気になるのですが、その速乾性といい、その発色といい、剥がれにくさといい、マニキュアとは全く違う、全くの別物です!(そもそも物性が違うので別物なのですが。。。)

爪も強化されているせいで、いつものように重たい測定器を設置したり、細かな作業をしても、爪が割れない。

これで、爪への化学的影響と、取り除くときの手間が無ければ最高なんだけどなぁ~とすぐに思いました。だって、現存の光硬化性樹脂は一旦硬化すると、液体には戻らない不可逆な硬化過程ですから、剥離は困難なのは常識。ネットでネイルサロンにおける硬化した樹脂の剥離方法を調べても使用する詳しい薬剤もその原理も書いてない。。。

いやぁ、ジェルネイルに限らず、何においても、使用する薬剤とその原理について自分なりに理解した上で利用したいですね。

いろいろな事を勉強し、それを自分なりに理解する能力に使う事ができれば、トラブルを避けることができたり、トラブルを解決したりできますよ!

私の場合、ジェルネイル一つにしても、素晴らしい技術に触れる楽しい機会です!

2022年11月13日 (日)

皆様、お久しぶりです。

長年、私のブログを楽しみにしてくださっていた方々には、多くのつぶやきを整理し、更新もやめてしまったことをお詫びします。個人的な事情が大きく影響しました。詳細は書くことができませんが、多くの困難を乗り越える過程で同時に多くを学んだ期間でした。ようやっとブログを更新する心境になりましたので、今後は定期的に更新していきたいと思います。お付き合いくださいますと幸いです。

実は、このつぶやきは、更新が滞っていた理由の一部が分かる内容になっています。

ちなみに、このHPは松永自身が作成しています。(長年松永を知り、そしてこのHPの更新を楽しみにしている方には今更ですね。)研究室ガイドなど一部の学生に関わる記事は、学生に原稿作成依頼をし、私が確認した上で掲載しています。

敢えてこれを説明するのは、松永や松永研について関心をもってくださり、ネット検索をなさる方の一部には、「HPの更新が長年滞っている理由」に着目される方もいらっしゃるからです。

ホームページを作成する技術や環境に問題はありません。単に、私のマンパワーの問題です。

さて、久々の更新内容です!

4月1日発行の静岡大学工学部メルマガ34号に私の着任挨拶文が掲載されたことは既に報告しました。実はこの原稿作成の際、松永のチャレンジ精神がうずいちゃいました、笑。案として提出した原稿には、つづきがあったのです。メルマガ編集会議において「大学にとってネガティブな印象を与えかねない」という理由で差し戻され、潔く全削除をした私でした。

とはいえ、全くネガティブな内容では無いのです。むしろ、誰もが一度は悩んだことがあり、そして無くそうと努力しているにも関わらずなかなか無くならない「ハラスメント」という問題に向き合い、世の中を前進させいようという意気込みが感じられるものです。よかったらお読みください。

では、着任挨拶文の続きです。

大学教員を長く続けていますと、研究や教育以外の事にも多く携わってきました。特に、ハラスメント相談員及びハラスメント防止対策委員(静岡大学の場合の名称)に相当する委員は、これまでの教員人生において最も長く携わってきました。最初にこの役目へと導いた背景は、(1)工学部における女性教員の割合が極めて低いこと、そして、(2)ハラスメントに関わる事は「女性の方がいいだろう」という「固定観念」でした。どちらも残念な背景です。とはいえ、長い教員生活を通じて、客観的にハラスメントに関わることも、私自身がハラスメントの被害者になる事も多くあります。とても残念な事ですが、これが実情です。

良い機会ですので、ハラスメントの話を致します。前職において学生間で発生したハラスメント事案に対応していた時、一緒に対応に奔走したある教員が私に質問しました。

「なぜハラスメントは発生してしまうのでしょうか?何が問題なのでしょうか?」

私はこうこたえました。

「他人は自分とは違う、それでいて尊い、という考えが至らないのでしょうね」

 

多様性を認める時代となり、「みんな違ってみんな良い」という言葉も使われるようになりましたので、私の言わんとしていることを理解してくださる方々もいらっしゃると思います。哲学者や心理学者の多くが語っているように、人生の問題は人間関係に起因します。つまり、人間関係を克服していくことが人生そのものといえるのかもしれません。人々は様々な手段で人間関係を克服しようとします。その際に、自分の考えを他人へ押しつけたり、自分とは考えの違う他人を否定したり傷つけたり、そして、自分の考えに従わせようとしたりすれば、それはハラスメントになってしまうのです。「他人は自分と違っていて、そして尊い」という意識をもって万人が万人と接する事ができればハラスメントは起こらないと思います、というのが私の言葉の意図するところでした。

授業アンケートにおいて「先生が期待しているほど理解はできなかった」と答える学生さんがいます。学生さん達と話していると「先生や親の期待に応えること」に重きをおいた人生を歩んでいる人が多いように思えます。そんなとき私は決まってこういいます。

「自分の人生です、どうか自分の考えで歩んでください。そして、大学は、自分の力で考え生き抜く勉強をするところなのです。一緒に悩み考え歩みましょう」

物心ついてから今日まで「誰かの期待に応える」ことが生きる目的であり、「誰かの期待に応えて褒められる」ことが生きる喜びであった学生さんにとって私のこの言葉はあまりに斬新なのか、「自分のこれまでの人生を否定された」と感じる学生さんが時折いるようです。そんな時は

「あなたの人生を否定しているのではありません、あなたを尊重し、あなたのこれからの人生、つまり未来をあなた自身の手で創っていってください、と言っているのです。私はそのお手伝いを喜んでします。」

と時間をかけて説明していきます。そんな学生さんも卒業する頃に私の居室へやってきて、目を輝かせながら「私の人生、私の好きに生きていいのですね。私の人生は、誰かに褒められたりしなくても価値のある尊いものなのですね。先生にもっと早く会いたかった。このことにもっと早く気づきたかった」と言ってくれます。

 私自身、この10年、ハラスメントの被害者となり、ハラスメントと闘う日々が続いています。このことが理由で、私の研究室のホームページは近年ほとんど更新していません。しかし、私もハラスメントに屈せず、尊重されるべき一人の人間として「生きる勇気」を持つときなのかもしれません。これからはホームページも更新していきたいと思っています。

2022年11月 8日 (火)

今年も卒業アルバム用の写真撮影をしました。静岡大学へ赴任して2回目の撮影、少しずつ学生メンバーの数も増えています。

今年の写真

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11月に入り、朝晩は摂氏10度以下になる日もありますが、この日は気温も20度程度、秋晴れの写真撮影でした。

前列の5名が学部4年生、後列の3名が修士1年生です。撮影場所は、浜松キャンパスのメインストリートにある噴水前。といっても噴水はほとんど映り込んでいませんね。後ろに映っている3階建ての建物は、「S-Port」という名前の事務室棟と図書館棟です。学生さんにとっては、新入生の頃から何かと手続きやと図書館利用のために利用する事の多い建物とのことで、今年はここで撮影することになりました。

M1は12月末の中間発表会、B4は2月中旬の卒業論文発表会へ向けて頑張っています!

2022年4月 1日 (金)

はやいもので静岡大学に赴任して1年が経ちました。昨年度末に執筆した自己紹介記事が「静岡大学工学部メルマガ34号」に掲載されました。ご興味ありましたら是非ご覧ください。

https://www.eng.shizuoka.ac.jp/outline/magazines_34/

以下、上記URLが消失した場合に備えた記事内容記録です。(内容は上記URL公開のものと同じです)

 2021年4月に工学部電気電子工学科に着任した松永真由美(まつなが まゆみ)です。九州大学・大学院(修士・博士後期)を卒業・修了後すぐに愛媛大学の助教となり、令和4年度で大学教員歴23年目を迎えます。様々なご縁に導かれ、米国ワシントン大学(シアトル)、京都大学や東京工科大学における研究や教育活動を得て、約1年前に静岡(浜松)の地に参りました。昔から私をよく知る友人知人は、「真由美は西から東へと旅路を進めているので、次は海を越えて東へ進むのか?それとも北か?と思っていたが、少しだけ西へ戻ったのね(笑顔)」と言います。しかし、当の本人は、偶然の導きで西から東へと旅路を進めているだけで、そのこと自体には何の意味も無いと思っています。私自身は常に、世界中の何処であっても私を受け入れる勇気を持ってくださった組織(大学)において、私の役割を精一杯果たすことに精進しているだけなのです。従いまして、私を受け入れる勇気を持ってくださった静岡大学には感謝すると共に、私も役割を果たすという勇気をもって精進しております。

 大学生の頃より「電磁波工学」を専門としています。電磁波の物理的振る舞いを数学的に表し数値解析する手法を提案し、実用技術へ応用する事が私の研究者としての役割です。電磁波はありとあらゆる技術へと応用されていることから、電気電子分野に限らず携帯電話から宇宙にいたるまでの様々な学問分野や技術分野の皆様と一緒に未来を創造することにチャレンジする日々を送っています。一方、教育者としては、IoT技術の発展を背景に需要が高まるマイクロ波技術者・研究者の育成を「若者たちが自らの頭で考え自らの人生を切り開く勇気を持つお手伝い」をモットーに、何事も学生たちと一緒に考え一緒に歩む姿勢で行っています。

2022年3月 1日 (火)

私が執筆した記事が掲載されましたのでそのご報告です。

掲載誌は「日本科学協会海外発表促進助成20周年記念誌」です。PDF板で閲覧可能ですので、ご興味ありましたら是非ご覧ください。

関連リンク:日本科学協会海外発表促進助成20周年記念誌

日本科学協会の笹川科学研究助成と海外発表促進助成制度には、大学院生の頃、そして、大学の教員に成り立ての頃に大変お世話になりました。与えてくださったチャンスをいかし、今があると感謝しています。

私の記事は、PDF版「研究は海を越え、20年の規制」のp26「第二部 海外発表促進助成者機構」に掲載されています。国際的な活動とその意義について書いております。是非、読んでください!

2018年3月 1日 (木)

すみません、下書きから1年経過してのアップです。アップするのをすっかり忘れていました(笑)去年は寒かったですねぇ~!

立春も過ぎ、暦の上では春だというのに、今年は寒いですね。先月から、本学でも様々な種類の入学試験を実施しています。受験生の皆様も体調管理には十分に気をつけてらっしゃると思いますが、見るからに具合の悪そうな生徒さんを見ると、試験監督をしているこちらまで気の毒になってしまいます。皆様どうか、お風邪など召しませんようにお過ごしください!

今週は、共同研究へ向けた打ち合わせも兼ね、JAXA相模原キャンパスへ見学に行きました。JAXA(宇宙航空研究開発機構)といえば、どんなイメージがありますか?「宇宙兄弟」、「宇宙飛行士」、「ロケット」といろいろなイメージが持ってらっしゃると思います。

以下の写真は、月面上を無人で移動するで月面ローバーです。その向こう側、展示室の屋根からつり下げられているのは、小惑星探査機「はやぶさ2」です。この写真をじっくりみると、松永研と関係のある部分が良く見えてきます(?!)写真では良くわからん、という方は、相模原キャンパスの展示場へLet's GO! 一般の方も見学できます!

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 松永研では、無人ローバーへのワイヤレス給電や、無人ローバーに搭載されるセンサリング技術、そして、はやぶさ2が地球と交信するアンテナの開発などに携わっています。

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2017年12月21日 (木)

今日は、マイクロウェーブ展への出展報告をします。

マイクロ波に関する最新技術を多くの皆様に知っていただく事が、本展示会の目的です。とはいえ、「マイクロ波に関する技術」とはいったい何だろう?と思ってらっしゃる人が多いと思います。

例えば、皆さんがお持ちの携帯電話(スマートフォン)もマイクロ波に関する技術によってもたらされた物です。つまり、マイクロ波が、遠くにいる家族や友人達の持っている携帯電話と、皆さんの携帯電話とをつなげているのです。丁度、子供の頃によく遊んだ、糸電話の”糸”の役割をしているのがマイクロ波です。

マイクロ波は、そのほかにも私たちの身の回りの技術に多く使われています。最近では、電力も、コンセントからケーブルで得るのではなく、無線で得ようとする技術開発が積極的に行われています。

マイクロウェーブ展には、マイクロ波に関する最新技術が分かる展示が、国内外の沢山の企業によって出展されています。この展示会の特徴の一つに、大学展示コーナーがあります。日本国内でも、毎日どこかで展示会が開催されているのではないか、と言われるほど、多くの展示会が開かれていますが、その中でも、大学展示コーナーがある技術的展示会は少ないのでは無いかと思います。

松永電波工学研究室は、国内外の著名な研究室と肩を並べて、毎年、このマイクロウエーブ展に出展してきましたが、本年度からは、東京工科大学・工学部・電気電子工学科の松永電波工学研究室として初めて出展しました。

今年の展示の目玉は、

1:大きく離れた2つ以上の周波数で利用できるアンテナ

2:次世代移動通信(5G)を見据えた電波伝搬解析

の二つの研究成果でした。

大変多くの来場者が松永研のブースにお立ち寄りくださり、これらの研究に対する関心の高さがうかがえました。その中でも、大変にうれしかったのは、東京工科大学の関係者の方々の訪問でした。卒業生の方々、保護者の方々などもお越しになりました。マイクロ波技術の知識に長けた人材育成に期待の目が向けられていることを実感しました。

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