研究内容 Feed

2023年12月31日 (日)

2023年12月21日~22日にかけて、電子情報通信学会マイクロ波研究会及びIEEE MTT-S/AP-S Nagoya Chapter Midland Student Express Autumn(中部地区学生発表会)を、静岡大学工学部(浜松キャンパス)において開催しました。

マイクロ波研究会は、私が大学教員となって以来、専門委員や現地世話人として何度も開催してきましたが、静岡大学へ移ってからは初めての開催となりました。Midland Student Expressは、中部地区の学生さんが発表する場として長く親しまれてきた行事のようで、ここ数年は主催者として活動をしています。12月の研究会は、是非静岡大学で開催したいとマイクロ波研究会関係者からお声かけいただき、私の提案でマイクロ波研究会とMidland Student Expressを同時開催し、それぞれの参加者が交流出来る場を設けることにいたしました。マイクロ波研究会の関係者の方々には、同時開催へのご協力に心から感謝申し上げます。

Img_18981 マイクロ波研究会における松永研の学生さんの発表

松永研からは、2023年4月に開催されたMidland Student Express SpringでAP-S Award(最優秀賞)を受賞した大学院の学生さんがマイクロ波研究会で発表しました。発表タイトルは「高域放射特性を改善する2段テーパースロットアンテナ」です。内容ですが、高性能イメージング技術には欠かせない電磁波プローブアンテナの開発に関する研究です。電磁波を用いたイメージング技術の高性能化が期待されています。応用分野としてはマイクロ波マンモグラフィーのような生体イメージングや、コンクリート建造物の内部劣化の非破壊検査などがあります。これらのイメージング技術の高性能化には、様々な技術をそれぞれに改良し、そして組み合わせる必要があります。その中でも、イメージング用電波の送受信をするアンテナの性能は、ダイレクトに解像度に影響します。本発表では、イメージング技術に用いられるアンテナの放射特性を改善する新たな手法について提案しました。詳細は、マイクロ波研究会のホームページをご覧ください。

多くの方のご参加ならびに、発表内容に対する活発な議論ができましたこと、心より感謝申し上げます。私が大学院修士課程のころから発表をしたり、運営に関わったりと長年お世話になっておりマイクロ波研究会が、これからも日本の科学技術の礎となりますよう、私も微力ながらお手伝いしていきたいと考えております。

2023年10月11日 (水)

アンテナ伝播分野の研究者にとって世界最大かつ最高峰の国際会議IEEE AP-S2023において講演および研究者間の交流を行いましたので報告します。

講演内容

T. Kanamori and M. Matsunaga, "A Novel Loop Antenna Easily Matching with Radio Frequency Integrated Circuit Chips," 2023 IEEE International Symposium on Antennas and Propagation and USNC-URSI Radio Science Meeting (USNC-URSI), Portland, OR, USA, 2023, pp. 1499-1500, doi: 10.1109/USNC-URSI52151.2023.10237905.

reprintご希望の方は、ReserachGateからご連絡ください。ちなみに、Kanamoriは松永研のM2です。発表予定でしたが、直前になって親御さんと当人が渡米に対し(根拠のない)不安を表明し拒否したので、名前だけ残っています。

静岡大学内の共同研究で開発中の高効率レクテナ(Rectenna)開発に関する研究論成果です。なお、RectennaとはRectifying Antennaを短縮して作られた造語であり、整流回路とアンテナが一体化したものをそう呼びます。

整流回路部分については、LSI設計の研究室である丹沢研究室が、また、アンテナ部分については松永研が担当して開発しています。ポイントは、整流回路の整流効率を最適化する入力インピーダンスを検討した上で、この整流回路のインピーダンスと整合がとれるアンテナインピーダンスを実現する検討です。

RFIDタグのチップインピーダンスはその構成上の制約で複素数となるため、RFIDタグアンテナの入力インピーダンスもこれと整合をとる必要があり、アンテナの入力インピーダンスを複素数で実現するようになりました。その当時は、チップインピーダンスと整合をとることのみに注力していましたが、アンテナも含んだ等価回路でレクテナ(整流回路とアンテナ)を考え整流効率を最適化するインピーダンスの検討はなされてきませんでした。この検討の難しさは、アンテナが実現できる複素インピーダンスに制約があったことも大きな理由です。

この講演で発表したアンテナは、LSIチップとの整合がとりやすい上に、従来のダイポールアンテナと同様の放射特性を有することが特徴です。

私の講演がプログラムされたセッションは、開始直後は聴講者が少なく心配しましたが、私の講演開始時刻の直前から一気に聴講者が増え、多くの方に講演を聴いてもらえました。また、多数の質問が得られ、久々に有り難い機会が得られました。

とはいえ、「アンテナの入力インピーダンスは50Ωであるべき」と信じ込んでいる方々がRFIDの実用火から20年経った今でもいること、そして、50Ωではない入力インピーダンスを有するアンテナの測定方法について知識や経験のない研究者が多い事に驚きました。

これからも、これらが多くの方に理解出来、そして、実用にいかして頂ける、そんな論文発表をこれからも続けていきたいと改めて思った次第です。

写真説明 左:会場入り口に設置された看板 右:会場を隣の高層ビルから撮影(オープニングが会場前の広場であり、人々が交流を楽しんでいる風景とともに)

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3年にも及び海外渡航困難

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年3月に予定していたコペンハーゲン(デンマーク)への国際会議における講演出張が、デンマーク政府が講じた入国規制の影響で頓挫して以来、約3年ぶりに国際会議において対面で講演を行いました。

毎年2月~3月は、アメリカへの共同研究打ち合わせのための渡航とヨーロッパで開催される国際会議への出席のため、東へ西へと飛び回り、ひどい時差惚けで体内時計がどの時間帯にあっているかも不明になる生活を送るのが日常だった私にとって、とても待ち遠しかった3年でした。

2020年2月は、いつも通りアメリカの数都市を訪問し複数の研究者と交流しておりました。コロナウィルスへの危機感が高まりつつある時期で、交流する人々とも、お互い気をつけようねといった会話がかわされたものの、それから3年も渡航できる機会を失うとは想像だにできませんでした。3月上旬に一旦帰国し、1週間もしないうちにコペンハーゲンへ飛ぶ予定でしたが、そこで、ストップが入りました。

北米内やEU内は国際会議の対面開催が早くに再開されていた

ご存知の方も多いと思いますが、各国の水際対策よりも私たちを困らせたのは、所属機関の規制でした。

日本国内において最後に発出された緊急事態宣言が解除されたのは2021年9月末でした。その間、国内であっても移動が所属機関により規制され、国内出張すらできない時期が2020年3月以来約1年6ヶ月続いたことになります。

海外への渡航規制も徐々に緩和されたものの、所属機関・日本国政府・出張先で行う手続きが複雑かつ手間がかかり、躊躇しました。その一方で2022年末頃からは、北米やEU内で開催される国際会議が対面のみの参加に限定しはじめました。つまり、オンライン参加や発表を許容しなくなりました。そのことを考えると、日本人研究者が国際会議へ対面で戻ってくるのには更に約1年を要したことになります。

世界における競争力を有する日本の研究者の一人として、日本の世界におけるイニシアティブを示すことが出来ない時期が長かったと思います。

日本から?と驚かれる日本人

理由の分析は出来ていないのですが、この国際会議期間中、会う人会う人、「え?日本から?」と驚かれる事が本当に多かったです。以下、考えられる理由です。

「日本人の対面参加が3年近くなく、対面開催が再開されても1年~1年半の間日本人の姿を見ることがなかったか?」

まぁ、そうでしょうねぇ。数は少なくても頑張っていた研究者はいたと思うのですが、圧倒的に数が少ないため、日本人の意気込みが感じられなかったんでしょう。私が思うに、昨今の、日本以外のアジア勢の勢いに比べると、日本人の熱意が薄い、本当に薄い。それは、世界は実感しており、本当に顕著に表現してくれます。

「いつもの事ですが、日本人女性にはアンテナ伝播分野の研究者はいないと思われている」

これ、本当に残念な事なんですが、世界はそう思っているんですよねぇ~。それは、私が国際会議デビューをしたM1(修士課程1年生)の頃からちっとも変わっていない。もうそろそろ何とかしませんか?

その一方で、女性の参加者が体感的に激増していました。本当にうれしいです!世界はそうなんですよ!日本のみなさ~ん!分かってます?

「私が日本人に見えない」

実は私、世界中のどこにいても「日本人」にみられない事が多いです。そう考えると、「え?あんた日本人なん?」というリアクションを久しぶりに感じたのかも?

まぁ、アジア人差別は別です。今度書きますが、2020年2月~3月に渡米した際も、空港で、久しぶりにひどいアジア人差別受けました。言葉がわかるだけに辛いです。

たぶん、立ち居振る舞い、そして、感性が日本人ではないからでしょうね~

私にしてみると、日本で生きていると生きづらさを感じます。日本人でいる必要がないことを実感できる、最高の時間でした!

では、また~

2023年8月18日 (金)

松永研の学生さんの受賞報告です。

2023年4月17日にハイブリッド開催(※)された、IEEE MTT-S/AP-S Midland Student Express(中部地区学生発表会)において、松永研の本間代典さん(M2)がIEEE AP-S Midland Student Express Award(アンテナ・伝搬に関する最優秀賞)を受賞しました。

※対面会場:ウインクあいち(名古屋市)

本学生発表会は、IEEE MTT-S および AP-SのNagoya Chapter(東海・北陸を含む中部地区)が主催し、毎年4月と12月に開催しています。ここ数年はCOVID-19の感染拡大の影響で開催中止やオンライン開催が続いておりましたが、2023年4月は対面とオンラインで発表・参加が可能なハイブリッド開催いたしました。

中部地区(静岡県、愛知県、三重県、福井県、石川県、富山県、岐阜県)の大学や高専に在籍する学生さん15名が、マイクロ波やアンテナ・伝搬に関する研究成果について発表を行いました。また、発表はIEEE MTT-SおよびAP-SのNagoya Chapter役員を中心とする審査員により厳正なる審査が行われ、アンテナ・伝搬に関する研究発表を行った松永研の本間代典さんがIEEE AP-S Midland Student Express Awardを受賞しました。また、マイクロ波に関する研究発表を行った名古屋工大の学生さんがIEEE MTT-S Midland Student Express Awardを受賞しました。

本間さんは「Multi-Stage Tapers Suppressing Sidelobes and Beamwidth Fluctuations of Vivaldi Antennas」と題し、生体イメージング技術で有用されているビバルディアンテナの放射特性を広帯域にわたって改善する手法についての研究発表を行いました。提案手法により、イメージング技術の高性能化が期待でき、生体イメージングのみならず、電波観測においての応用も期待されています。

本間さんは、M1から松永研で学んでいますが、並々ならぬ努力の結果、このような結果を得る事ができました。大手有名企業から内定を得ており、2024年3月に修士課程を修了予定です。現在は修士論文の作成とともに、得られた成果を学術誌論文へ投稿すべく日々努力を重ねています。

Mse2023_homma 研究室前で賞状を手にする本間さん

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賞状

2023年4月 5日 (水)

久々にアメリカで開催される国際会議へ出席できる予定です。

私が所属し主な活動の場としているIEEE AP-S(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Antennas and Propagation Society)のメインの国際会議である、2023年IEEE AP-Sへ投稿していた国際会議論文が採択されました。今年の7月にオレゴン州のポートランドで発表予定です。

いやぁ~最後に渡米したのが2020年の3月ですから約3年ぶりです。その間開催された国際会議にはオンライン参加でしたから、本当に久々の国際会議への現地対面参加となります。

もともとITオタクで、オンライン大好きの私ですから、コロナ禍における様々なデジタル化は大歓迎+大助かりでした。やっと時代が私に追いついてきたのか?とも思いましたが、さすがに、国際会議だけは対面参加でしか得られない事が多く、ようやっとといった思いです。

肝心の発表内容ですが、プログラムが発表された後に再度お知らせしますね。

とはいえ、久々のヒットだと思っております!つまり、小型アンテナの定番となるアンテナになると確信しています!詳細は、本国際会議に限らず、学術雑誌にも順次掲載していく予定です。乞うご期待!

本国際会議論文は修士の学生さんと共著です。学生論文賞や、海外渡航費助成へも応募中ですので、その結果についても順次お知らせしていく予定です。

IEEE AP-S/URSI 2023のホームページ

2023年2月15日 (水)

学生さんに関する報告です

最近、まとめて複数投稿するようになってしまい申し訳ないことです。定期的に更新出来るようにしたいな、と思う今日この頃です。

2023年2月15日は卒論発表会でした。松永研のB4生4名が発表会へのぞみ、無事卒業論文の単位を取得することができました。

発表者氏名と卒論タイトル及び概要は以下の通りです。

  • 関森絃太 「直列給電マイクロストリップアレーアンテナによるビームステアリングの検討」
    • アンテナから放射する電波ビームをステアリングさせる新しい技術です。並列接続したアレーアンテナよりもコンパクトです。近々国際会議と学術誌論文として発表予定です。
  • 山田雅也 「金属対応ICタグ用マイクロストリップアンテナの検討」
    • バーコードに代わる商品管理システム機器であるRFIDのアンテナに関する研究です。標品管理を担うには、金属製の物品にも使える必要がありますが、電波は金属の影響を多大にうけるため、なかなか難しいのです。この研究を基礎に、松永イズムが感じられる画期的アンテナが発表される日も近いことでしょう。
  • 小林義和 「人工磁気導体を用いたKa帯クロススパイラルアンテナの航空機搭載応用」
    • 松永が過去に発明したアンテナであるクロススパイラルアンテナをミリ波隊に応用しました。金属が近接しても性能が維持できるように、人工磁気導体も搭載しました。
  • 杉山彰 「UHF帯マイクロストリップアンテナの小型化の検討」
    • マイクロストリップアンテナ(通称パッチアンテナ)って、UHF帯(昔のテレビのUチャンネル)では大きすぎるんですよね~小型すると性能が落ちるし。。。という訳で、いろいろと試してもらいました。基礎的な研究ですが、とっても大事な検討です。

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2022年10月19日 (水)

ようやっと行動規制も緩和され、学会や研究会も対面で開催されるようになりましたので、学生さんと電子情報通信学会アンテナ伝播研究会へ参加しました。10月の本会は、学生さんのポスター発表の場と、学生さんと企業さんとの交流イベントが提供されるため、就職活動を始動する修士1年生が松永研からは例年参加しています。今年は修士1年3名がポスター発表を行いました。

当該イベントの詳細はこちら

「百聞は一見にしかず」という諺もありますが、発表資料等について先生がいろいろと助言をするより、多くの人々へ発表を聞いてもらい、そして直に人々の反応を目にし耳にし感じる方が、多くの知識と経験につながるようです。

今回は、3人とも新規アンテナの提案に関する発表を行いました。発表タイトルは以下の通りです。

  1. ビバルディアンテナのサイドローブをより広帯域で抑制できる多段テーパ(本間代典・松永真由美)
  2. 広帯域で単一指向性を有する無給電素子付ボウタイアレーアンテナ(足立雅樹・松永真由美)
  3. RFICと整合するUHF帯二重ループアンテナ(金森拓海・松永真由美)

当該研究会プログラムはこちら

1は、電波天文学用の広帯域な平面アンテナに関する研究成果です。各種イメージング技術にも応用可能です。まだまだ改善点や課題がありますが、SKA計画の様に膨大な数のアンテナを用いる観測機器においては、設置や製造が容易な簡便構造のアンテナが求められていることから始めた研究内容です。

2は、乳がんなどの生体イメージングへの応用を目指したイメージング用の薄型広帯域アンテナに関する研究成果です。生体イメージング技術の開発は、シグナルプロセッシング技術やデータ処理アルゴリズムの開発の方に興味が注がれる事が多いのですが、アンテナの高性能化や小型化も重要なキーテクノロジーです。イメージングにおける解像度はアンテナのビーム幅や帯域に依存します。また、アンテナが大きくなれば装置が大型になってしまいます。これらの問題を解決することを目指した、アンテナです。

3は、最近注目度が急上昇しているRFIC(Radio Frequency Integrated Circuits)と組み合わせが容易なアンテナに関する研究成果です。RFIC技術として最も身近な技術はRFID(Radio Frequency Identification)です。皆さんが通勤通学で毎日利用している交通系ICカードに用いられている技術ですね。実は従来、アンテナの入力インピーダンスは50オームで設計していました。一方、ICの入出力端子におけるインピーダンスは50Ωとはかけ離れています。つまり、そのまま接続してしまうとアンテナとICの接続部におけるインピーダンスの不整合に起因した損失が発生してしまうのです。従来は、インピーダンス整合回路をアンテナに取り付けることで解決していましたが、アンテナ自身のインピーダンスをICに合わせることで解決しようとしています。RFIDタグへも応用が可能な小型で高効率のアンテナができました。

次の学会や論文発表へ向け日夜努力を続けています。次回の発表をお楽しみに!

緊張しながらポスター発表に臨むM1メンバー

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2022年9月 7日 (水)

松永本人が国際会議「APWC2022」で発表しましたので報告します。

本国際会議には、セッションオーガナイザーの中野先生(法政大学)のご招待により、2016年から毎年参加しています。今年は南アフリカ開催だったのですが、行動規制と水際対策の影響をうけ、オンライン参加となりました。日本時間の深夜の時間帯の発表でしたが、予想以上に多くの方の聴講、そして有益な質問がありました。聴講および質問してくださった方々には心より感謝申し上げます。

今年の発表タイトルは「A Single High Gain and Narrow-Beam Folded Dipole Antenna for Millimeter-Wave Applications」でした。

折り返しアンテナに魅了され、その構造と特性を応用したアンテナを作ってきましたが、ミリ波通信技術への応用を見据えて、高利得化、狭いビーム幅を実現する新規構造の提案を行いました。

ビーム幅の制御が容易にできることから、複数の質問者に高評価のコメントを頂戴しました。

今年中には、実験データを整理し論文誌への投稿を予定しています。どうかお楽しみに!

関連リンク:IEEE APWC2022ホームページ

2022年4月23日 (土)

学生さん(M1)2名が学会発表をしました。

発表したのは、IEEE MTT-S/AP-S Nagoya Chapterが主催する中部地区学生発表会2022Springです。

大学生時代から海外を含め、いろいろな土地で活動をして参りましたが、実は、静岡県がカテゴライズされる中部地区での活動は私にとって初めての地なのです。どの範囲が中部地区と呼ばれるかについてすら、ほとんど意識せずに生きてきましたので、なんとも不思議な気持ちでおります。

IEEE MTT-S/AP-S Nagoya Chapterというのは、米国に本部がある電気電子通信系の学会IEEEの、マイクロ波やアンテナ・電波伝搬に関する研究者の、中部地区のコミュニティーのことです。中部地区なのに何故「Nagoya Chapter」なのかについてはお察しください。他にも、九州地区は「Fukuoka Chapter」, 中国地区は「Hiroshima Chapter」といった具合に、その地区の代表的な都市名が付けられている、なんとも不思議なコミュニティです。(※個人の意見です)

とはいえ、静岡大学赴任初年度からこの「IEEE MTT-S Nagoya Chapter」の運営役員をやっている関係で、運営(裏方)もやりながら、学生さんの発表もサポートしながら、と忙しい日々をおくっておりました。

関連リンク:IEEE MTT-S Nagoya Chapter

2名の学生さんが、B4の時に勤しんだ研究内容について発表しました。今回は、惜しくも優秀発表賞を逃しましたが、次回は狙うぞ!と、日々努力しています。

2022年4月 1日 (金)

はやいもので静岡大学に赴任して1年が経ちました。昨年度末に執筆した自己紹介記事が「静岡大学工学部メルマガ34号」に掲載されました。ご興味ありましたら是非ご覧ください。

https://www.eng.shizuoka.ac.jp/outline/magazines_34/

以下、上記URLが消失した場合に備えた記事内容記録です。(内容は上記URL公開のものと同じです)

 2021年4月に工学部電気電子工学科に着任した松永真由美(まつなが まゆみ)です。九州大学・大学院(修士・博士後期)を卒業・修了後すぐに愛媛大学の助教となり、令和4年度で大学教員歴23年目を迎えます。様々なご縁に導かれ、米国ワシントン大学(シアトル)、京都大学や東京工科大学における研究や教育活動を得て、約1年前に静岡(浜松)の地に参りました。昔から私をよく知る友人知人は、「真由美は西から東へと旅路を進めているので、次は海を越えて東へ進むのか?それとも北か?と思っていたが、少しだけ西へ戻ったのね(笑顔)」と言います。しかし、当の本人は、偶然の導きで西から東へと旅路を進めているだけで、そのこと自体には何の意味も無いと思っています。私自身は常に、世界中の何処であっても私を受け入れる勇気を持ってくださった組織(大学)において、私の役割を精一杯果たすことに精進しているだけなのです。従いまして、私を受け入れる勇気を持ってくださった静岡大学には感謝すると共に、私も役割を果たすという勇気をもって精進しております。

 大学生の頃より「電磁波工学」を専門としています。電磁波の物理的振る舞いを数学的に表し数値解析する手法を提案し、実用技術へ応用する事が私の研究者としての役割です。電磁波はありとあらゆる技術へと応用されていることから、電気電子分野に限らず携帯電話から宇宙にいたるまでの様々な学問分野や技術分野の皆様と一緒に未来を創造することにチャレンジする日々を送っています。一方、教育者としては、IoT技術の発展を背景に需要が高まるマイクロ波技術者・研究者の育成を「若者たちが自らの頭で考え自らの人生を切り開く勇気を持つお手伝い」をモットーに、何事も学生たちと一緒に考え一緒に歩む姿勢で行っています。

2022年1月13日 (木)

学生さんの受賞報告です。

電子情報通信学会マイクロ波研究会が開催しているマイクロ波回路設計試作コンテストにおいて、松永研究室の笹川さんが特別賞を受賞しました。今年のお題は「バラン設計」でした。

とはいえ、バランって何?と思う方も多いと思います。丸いループ形状をした室内アンテナをテレビに取り付けた経験のある方なら「黒くて、平たくて、2本より導線がでる」フィーダーと言えば、なんとなく見覚えがあるかも?しかしながら「僕、テレビ見ないんで」と日常的に学生が口にする時代、バランを手にとる機会は無くなってしまったのかもしれませんね。

同軸ケーブルから2線フィーダーへ変換する回路もしくはケーブルのことを「バラン」といいます。ここでは詳しく説明しませんので、ご興味のある方は、私の講義を受講してくださいね!(一般、技術者、高校生向けなど各種講習会の講師もしています)

笹川さんの設計したバランは、コモンモードと差動モードとの挿入損失の差が極めて高い事が評価されました。審査委員からも賞賛の声があがる程の性能でした。

詳しくは、静岡大学のホームページに掲載されています。

https://www.eng.shizuoka.ac.jp/articles/view/hama2022011302/

以下、上記のURLが消失した場合に備えた記事内容控えです(上記URL有効中は同じ内容です)

笹川泰雅さん(工学部/松永研究室)が電子情報通信学会マイクロ波研究会2021年度学生マイクロ波回路設計試作コンテストにて「特別賞」を受賞しました。

 

 工学部電気電子工学科4年生の笹川泰雅さん(松永研究室)が、電子情報通信学会マイクロ波研究会が主催する2021年度学生マイクロ波回路設計試作コンテストに参加し、優秀な回路設計をしたとして「特別賞」を受賞しました。

このコンテストは,電子情報通信学会マイクロ波研究専門委員会が,マイクロ波産業の将来を担う学生に「ものづくり」に対する興味を一層深くしてもらうことを目的として毎年開催しています。今年は、より性能が高く、より小型の「平衡-不平衡変換器(バラン)」設計に挑みました。性能や、回路設計の独創性などについてマイクロ波専門委員により厳選なる審査がなされた結果、笹川さんの設計したバランは、「不平衡側-平衡側間の、コモンモードと差動モードとの挿入損失の差」が極めて大きい点が高く評価され受賞に至りました。

(写真)一緒に参加した研究室メンバー(金森さん(左)と足立さん(右))と一緒に受賞を喜ぶ笹川さん(中央)2021

(写真)賞状 _2021

・2021年度学生マイクロ波回路設計試作コンテスト

https://www.ieice.org/~mw/contest/2021/index.html

・静岡大学工学部電気電子工学科松永研究室

https://mmayumi.lekumo.biz/jp/