2023年12月11日 (月)

つぶやき:勝手な思い込みで人を判断したり介入するのは罪

早いもので今年も師走となりました。毎年このブログに掲載することが恒例となりました冬のイルミネーションの写真です。このショッピングモールは毎年訪れるのですが、不景気を反映してか、年々簡素化しているように見えるのは気のせいでしょうか?もしかすると、これは簡素化では無く、温暖化を表しているのか?このように人間はいろいろと事情が分からないものに対し想像を巡らせるものです。

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最近「イチケイのカラス」という日本映画を見ました。えん罪を防ぐ為に、誰かに忖度したり、一方的な決めつけで判断したりすることなく、それこそ面倒くさがらず手を抜かずに捜査を行い、それに基づいて判断をすることの大切さを主題としている、裁判所を舞台とした漫画を原作のリーガルサスペンスだと思います。私自身は、そもそも、主観に囚われず、柔軟に物事を見通し、公平に判断をくだすことを心がけているため、その大切さを訴える漫画やドラマが世間で受け入られるようになったことに対してはうれしさを覚えます。このドラマの掲げるテーマの中でなるほどと思ったのは、「罪を犯した人にも罪を償う権利がある」というものでした。

物語で描かれているのは、誰かが罪を犯したとき、その罪を他の誰かが勝手に「かばったり」、勝手に「かぶったり」したシーンでこの「罪を犯した人にも罪を償う権利がある」ということを認識させるシーンが出てきます。このテーマには、他人の問題に他人が勝手な判断で踏み込まないこと、そして、踏み込んだことに対しまるで良い事をしてやったかのような優越感を覚えないこと、というのが背景にあるように私には思えました。

私は学生達に、勝手な思い込みをしないこと。そして、勝手な思い込みに基づく言動を他人に押しつけないこと、をいつも教えています。わかりやすい例でこれを説明しましょう。

就職活動をしていたある学生さんとの会話です。

先生:就職活動の状況はどうですか?

学生:ほっといてください。先生には関係無いでしょ?

先生:そうですね、自分なりに進めているのであれば良いですね。頑張ってください。何か相談事があれば遠慮無く言ってくださいね。

学生:自分の就職活動のやり方は特殊です。これを理解してくれる先生なんてこの世にはいないと思います。どうせ反対されたり、自分の意には反する意見をされたりするので、気にしないでください。

先生:それって、「先生というのは学生さんの意見を理解してくれないに決まっている」という勝手な思い込みに基づいていますよね。しかも、実際に目の前にいる先生は、まだ何も言葉を発していないのに、「どうせ反対したり意に反する言葉をなげかけるはずだ」と決めつけて、実際には発していない言葉をさも発したかのように想定して先生を批判したり中傷していませんか?

学生:。。。

先生:先生がどんな反応をするか試してみませんか?もしも、その結果、あなたがいうような事になれば、批判すればよいじゃないですか?

そうなんです。イチケイのカラスで出てくる「罪を犯した人をかばう」行為も、学生が「どうせ先生なんて自分を否定するに決まってる」という考えも、全て、勝手な思い込みで他人を判断しているのです。しかも前者は、「かばうことが罪を犯した人の為になる」と自尊心を高め、本当に罪を犯した人の気持ちは考慮されていない。また、後者は、実際には何もしていない先生が、学生に対し何かをしたかのようなことになっています。先生が本当は何を思い何をするかは無視されています。

このように、「どうせこうだろう」と自分の勝手な思い込みで、本来は他者にある決定権を奪う行為に対し、もう一度見直したいものです。

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