2022年12月26日 (月)

学生活動:M1中間発表(26Dec.2022)

M1(大学院修士課程1年生)の中間発表が無事修了しました。

修士課程学生に対する中間発表(M1対象)は実施する大学としない大学があります。最近は、多くの大学で実施しているようです。その理由は、研究室活動を実質化するためです。

工学部をはじめとする多くの理系の学部学科では、大学院の学生は研究室に所属し、所属した研究室が進めている研究活動に参加しながら高度な専門的知識と経験を積みます。工学部の人々は「研究室活動」と呼びます。ちまたではゼミと呼ぶ人のいますが、日本の工学部ではゼミとは呼びません。

大学院生の主な活動は、この研究室活動です。研究室活動を通じて得られた成果を論文にし、この論文内容が各課程(※1)の合格基準に達していなけえば、課程を修了(卒業)することができません。

一昔前(2000年頃)までは、この常識(大学院生というのものは各課程の論文(修士論文もしくは博士論文)を執筆するのが主な仕事であり、論文を書くためには、自主性をもった研究活動を行い、独自性のあるテーマで、学術的に新規的かつ重要な研究内容について、学術誌掲載レベルの論文執筆技術を持たなければならない)が分かっている人が大学院に進学する事が多かったので、毎日研究室へ通い、日々研究室活動に勤しむことは当たり前でした。

しかし、2010年頃から諸般の理由で、この常識が大学院生にとって当たり前ではなくなり、研究室活動を授業の一環として時間割に組み入れたり、成績評価を実質化したりする必要性が高まりました。中間発表も、一般的に2年間でプログラムされている修士課程の1年目の成績評価のために、多くの大学で実施されています。

この諸般の事情の中には、学生さんの意識(保護者の意識も含まれる)への働きかけが大きいと思います。時間割に組み入れられていないと、「何故、研究室へ毎日通い勉強する必要があるのか?」と思う学生が増えてきたからです。このような学生は、大学学部1年生の頃と同様に、授業だけ出席し、それ以外の時間は全てアルバイトや趣味などのプライベートな時間として過ごしてしまい、2年経過した頃に「修士論文を提出してください。提出しないと課程を修了(卒業)できませんよ」と言われ、そこで初めて、前述したようなプライベート時間ばかりの大学院生生活を送っていると、課程が修了できないことに気付くのです。とはいえ、授業レポートと同様に一晩徹夜すれば書けると気楽に考えている学生さんもいますが、一夜漬けのレポートで合格できるほど甘い審査ではありません。

前置きが長くなりましたが、中間発表は、学生さんが計画的に2年間の研究活動を進める為にあるのです。計画的に進んでいるか?1年目の経過として2年目に卒業できる見込みが立つか?などを実質的に評価することで、前述したように、2年もの時間をほぼプライベートに過ごし、終盤になって「あれ」ということにならないようにするのです。

松永研の3名のM1ですが、それぞれに1年間の努力が結果に表れた発表となりました。今日からが修士課程の折り返しです。丁度1年後には修士論文の提出と発表があります。そこへ向かって頑張ってください!

※1:ここで各課程とは、修士課程(博士前期課程)と博士後期課程の事を指します。大学院へ進学する多くの学生さんは、修士課程の修了および修士号の学位取得をもって企業等に就職しますので、一般的に大学院卒業と言えば、修士課程修了を指しています。大学の先生など、より高度な知識を必要とする職業に就くには、博士後期課程を修了し博士号の学位を取得する必要があります。ちまたでは、あそこのお子さんMBAを持ってらっしゃるんですって、とか、私はMBAを持っている、と誇らしげにおっしゃる方をみかけますが、このMBAとはMaster of Business Administration の略で、経済学の修士号のことを指します。ですから、この学位をお持ちの方々は、経済学に関する大学院の修士課程を修了されたということになります。