2023年8月20日 (日)

久しぶりにTED Talks(※)を視聴していたときの事です。

※TED TalksについてはTEDの公式ホームページをご覧ください。

最も視聴されたTalksを表示すると、Sir Ken Robinsonの「Do schools kill creativity?」だというので早速聴いてみました。

最近の学校教育に違和感を感じている人は多いのですね

このTalksが最も視聴されたということは、最近の学校教育に違和感を感じている人が多いということなのでしょうか?どういった興味でこのTalkを視聴したのかについての調査や検討は見当たらないので、そう結論づけるのは尚早でしょう。しかし、興味をもって視聴した人がこれだけ多いという事実は認める必要があります。

タイトルは「学校教育は創造性を殺してしまっている?」と訳されているようです。私としては、本Talkのポイントは、以下に整理されると思いました。

  • 学校教育が画一化教育に重きを置いた結果、創造性教育がなおざりとなってしまっている
  • 識字教育と創造性教育は分け、どちらも実施する必要性がある
  • そして、大学教育のインフレが進んでしまった今、知性の意味を抜本的に考え直す必要がある

先日も、私自身の大学教育現場における教育者としての経験から、考える力を培う教育が日本の教育現場ではなおざりにされ、その結果、自分の人生を自分の考えに基づき判断しながら歩むことができない学生が増えている事をつぶやきました。主にアメリカの教育について語っているSir Ken Robinsonも、私と同様に、これまでの教育がもたらした弊害に警鐘を鳴らし、教育改革の必要性を具体的に語っています。

画一化(標準化)教育と識字教育が学校教育の基本としたことの弊害

少し脱線しますが、2023年に放映されている「らんまん」という朝ドラについて説明してくれた知人の話を聞いたときのことです。(ちなみに私は視聴していません。)

武士の家系に生まれた男子だけが私塾に通えた時代、商家の生まれでありながら私塾への通学を許された主人公が、様々な事に興味をもって勉学に没頭することから話が始まったそうです。時が経ち、尋常小学校制度が施行され、私塾が閉鎖されたとき、尋常小学校では識字教育が主であったことから、国語(日本語)はおろか、英語も習得していた主人公には、「いろは」からの教育には興味が持てず、1日で中退。その後、学校教育を受けたことはないが、世界的に著名な植物学者となったという話の様です。知人から聞いた話ですので、もしかすると少し違っているかもしれません。

この話を聞いたとき、私は思わず、「私塾つまり、私立大学の設立理念はそこにあったはずなのに、現在においてはその役割を担っている私大は皆無のように思える」と発言しました。

この朝ドラを作っている人々が、世間に何を伝えたいと思いを込めているかは知りません。しかし、私が思ったように、以下の点に思いを込めて視聴すれば、Sir Ken Robinsonが伝えたかった事と同じ事であったように私には思えます。

尋常小学校の設立理念は識字教育であったのです。私が小中学生の頃には、日本の識字率は世界一であるといった事を誇る発言が良くきかれました。確かに、公立小学校の教育により、日本の識字率は、ほぼ100%なのでしょう。確かに、生きていくために読み書きは必要です。しかし、読み書きはできるが、それをどう活用するかについては教育現場で教えてこなかったともいえます。

ちょっと余談です。私の出身高校には、全日制だけでなく定時制もありました。その両制度の生徒が同じ教室を昼と夜にシェアするシステムでした。ですから、全日制(昼)の生徒であった私たちは、帰宅時に机の引き出しを空にし、教室を掃除して定時制(夜)の生徒達にバトンタッチするのです。中には、机の落書きで文通をする生徒もいましたね。とはいえ、定時制の生徒と関わる事はほとんどありません。文化祭(学園祭)が開催された時でした。普段は節点のない定時制の生徒が、全日制の文化祭に遊びに来ていたのです。確か、数学研究会の恒例の出し物であった、PC占いの手伝いを私はしていたのだと思います。そんな私に、定時制の生徒の一人が声をかけました。「ごめん、(全国有数のSランクの全日制生徒のあなたには)信じられんやろうけど、僕、本当に字が読めんとよ。ばってん占いの内容を知りたかと。やけん読んでくれん(博多弁です)」それも、明るく、ほがらかに、あっけらかんとこのことを告げるのです。読んであげると、とても喜んでくれた事を今でも思い出します。どんな事情で識字教育(義務教育)をうけることが出来なかったのかを聞く事はできませんでしたが、定時制に通いながら学ぼうとしている姿勢にも心打たれるものの、それ以上に、明るく「読んで欲しい」と言えることに尊敬さえ覚えたことを今でも思い出します。

「役に立つことを教えろ」と主張する人々

Sir Ken Robinsonも語っていますし、私も日常的に経験していることですが、「役に立つことを教えることを求める人」がとても多いです。まぁ、ほとんどの人がそうだと言えます。しかも彼らの役に立つは、私やRobinsonの考える役に立つとは違っているのです。

2023年4月にこんな事がありました。4月の講義1回目に参加した学生さんに私は問いました。「皆さんは、どのような理由でこの講義を受講しようと思ったのですか?」そして私はこう続けました。「これまでの大学生活を通して、先生がいろいろと説明していることを、ただ机に座って聴いているだけで、分かった気になり、期末テストに合格することだけを目的に講義を受けてきた人はどれだけいますか?」私から指名された学生が「自分は違う。」と言うので、私は彼にこう質問しました。「君は違うというけど、ノートも筆記用具も机に出していないね。じゃあ、君、私の説明は一度聞いただけで全て理解し記憶に留め、自力で運用する事ができるの?」彼は机の横に置いていた鞄をあさりだしましたが、あいにく、何かを書き留める紙すら一枚も持ち合わせていませんでした。そこで私は続けます「書き留める物を何も持参せずに講義をうける背景には、はやり、授業は適当に聞き流し、期末テストに合格すれば良いという考えがあるのでは」と。彼は不満そうな顔をしていましたが、案の定、授業後に、「先生の講義は、自分の将来にも就職にも何の役にも立たないので、履修取り消しをします」とメールが送られてきました。ちなみに、履修取り消しには担当教員へのメール送信は必要ありません。Web操作で簡単にできます。なお、大学院の選択科目での話です。

彼の将来や就職活動において、何が役に立つと、彼は考えているのでしょうかね?

私が彼に伝えたかったのは、期末試験に合格し、単位を良い成績で取得し、そして、卒業する事だけに重きをおいてはいけないということ。私は、学生のみなさんに、知識を自分のものにし、実際に運用することができるようになって欲しい。だから、この講義は、みなさんがこれまで受けてきた講義とは違い、期末試験にこれが出来ますよと説明したり、講義内容(授業中に用いたPPTなど)をPDFファイルで配布したりは決していない。常に君たちに考える事を促し、そのトレーニングをしながら講義を進める、とそうはっきり説明しました。それって、彼の将来にも就職活動にも何の役にも立たないのですかね?笑

大学教育はインフレ状態

Robinsonも言っているように、大学教育はインフレ状態です。これは、誰もが感じていることでしょう。だから、大学院に進学しなければ差別化が図れないと、多くの学生が思っている時代です。ここで疑問が生まれます、あなたは人との差別化のために大学や大学院に進学するのですか?

就職してリクルーターとして大学を訪問する卒業生達の多くは、仕事をする上で、これこれの資格や知識が必要なので、専門学校に通いながら頑張っています、と話します。仕事をしながらなので大変だとも言います。そうなんです、勉強とは、そして学校とは、本来、何かを学び身につけるためのもので、人との差別化を図るファッションではないのです。しかし、最近の大学教育は、皆が進学するから進学する、卒業すれば就職活動に有利になる、単に卒業できれば良い、ものになってしまいました。知識を身につけ、将来の役に立つように、運用できる事を目的にしている学生は少なくなってしまいました。

インフレ時代に生き残るためには

昔勤めていた国立大学で知り合った教員仲間からこんな話を聞きました。彼女は、私と同世代です。つまり、失われた20年(バブル崩壊後から低迷し底なし沼に経済が陥った時代から、リーマンショックが起こる数年前までを指し、人によって数え方が違います)の世代です。旧帝大を卒業すれば、一流企業の管理職に自動的に上り詰める時代は終わり、ほとんどの大手が新卒をとらなくなった時代ですね。彼女はこう言います。「そんな時代にあって生き残った私たちですよ。学歴ではなく実力があるのですよ」と。

そうなのです、必要なのは学歴ではないのです。その人自身が持っている実力なのです。

AIに仕事を奪われるとは

私は学生達によくこんな話をします。「期末試験に出る問題を暗記できるように教えろ」と苦情を言ってくる学生もいますけどね。皆さんにはおわかりですよね、それって教え(教育)ではないです。

最近、AIにうわばれる仕事が話題になっているよね。本当の意味知ってる?自分はそんな仕事には就かないし、関係無い、とか思ってません?と

ある日の授業中に、専門知識に関するある事を質問しました。学生の一人が、手を上げ、大きな声で、「○○です!」と元気よく答えてくれました。しかし、残念ながら私の教えたこととも、使っている教科書の解説とも違っていたため、「不正解」と伝えました。そして、私が講義中に教えたこととも違うし、教科書の解説とも違うね。どうして○○だと思ったの?と質問しました。すると、黙り込んでしまいました。後日、ゆっくり話を聞くと「手元のスマホで検索し、一番上にヒットした内容だった」とのこと。まぁ、私の事なのでそうであることは分かっていたのですが、この学生さんは、この事実をなかなか認めてくれず、本人の口からこの説明を得るには時間がかかったわけですが。

何故この話をするかというと、これこそが、AIに仕事を奪われるということだからです。

だって、学生達に質問した事は、授業で説明した事ですし、教科書にも解説があることですよ。しかも、学生達に取り組んでもらっている演習を通じて得た知識があれば、自分で考えることだってできた内容の質問だったのです。しかし、この学生さんは、スマホで検索をするという行動をとり、そこで1番上にヒットした情報を、真偽の判断もせず、鵜呑みにして、堂々と読み上げたのですよ。

自分の能力も知識も経験も、これら全てを使わず、AIに頼ったのです。

これが、AIに仕事を奪われるということです。

大学を卒業していようが、大学院で修士号や博士号をとろうが、その大学が有名であろうがなかろうが、自分の頭で考え判断することができず(せず)、AIに頼ることしかできなのですから。

AIが仕事を奪うという表現よりも、AIに使われる仕事と言った方が分かりやすいかもしれません。

例えば、タブレットを渡され、タブレットに表示される指示にしたがって作業をしてください。これがあたなの仕事です。といったようなシステムで成り立つ仕事です。

そんな仕事を楽な仕事だと言って喜ぶ人は多いと思います。

だって、授業は適当に受けておけば良いよ、期末試験はスマホ持ち込み可で検索し放題だよ、って言われたら大喜びするでしょ?そして、実際、授業は真面目にうけず、期末試験の際は、問題の答えを求めて検索しまくり、上位にヒットした内容を丸写しして、あー楽だったーって喜びません?

もしも、そりゃそうだ、と思った人は、上に書いた通り、そんな仕事を楽な仕事だと言って喜ぶ人ですよ。

なのに私が、「でもさ、それってAIに使われているんだよ」、とか、「既にAIに奪われた仕事だよ」、とか説明するもんで、人を馬鹿にするな!と憤慨する。

馬鹿になんかしていません。私が言いたいのは、大学で4年、大学院修士課程で2年という時間とお金を使い、身につけ実際に運用できるのが、AI検索と上位ヒット情報の丸写しって、どうなんですかね?という事です。

大学教育はインフレを起こしています。大学卒業とか大学院修士課程修了とか、どの大学とか、もうほとんど意味がなくなってきています。そこで、モチベーションを持ち続け、大学卒業後の約40年間をどうやって仕事に費やすのですか?

最近はよく学生達に、こんなことを語りかけています。

2023年8月19日 (土)

大学生の考える力の低下が問題視され、「考えさせる問題を入試で出題するように」とお達しが出て久しいものの、考える事が苦手な学生さんが一向に減らないのが現状です。

考える事も、説明することも不得手な学生さん

ある日、ある学生さんと卒業研究について議論をしていると、「考えたら負け」と強く念じてこれまで頑張ってきたのに、という発言が出てきました。

詳細はこうです。「考えたら負け」と暗記に専念して大学入試に取り組んで来たのに、大学に入学した途端、「自分の頭で考えるんだよ」と言われても、何をどうしたら良いか分からないというのです。実は私、「考えたら負け」の意味が分からず、どういう意味?と思わず質問しました。考える事が不得意な上に、自分の考えを説明するのも不得手なこの学生さんの言うことを理解するのは大変なのですが、じっくり話を聞いて、私が理解したのは以下の様なことでした。

「考えたら負け」とは?

例えば、物理の公式を勉強する際、公式は暗記するものであり、どうしてこのような公式が導かれたのかについて考えるのは、時間の無駄である、ということの様です。

そういえば、私の高校時代にこんなことがありました。

私は、物理を学ぶ事も応用することも大好きです。そんな私ですから、物理の法則は全て深く理解しようとします。ある日、ドップラー効果について、いつものように時間をかけて延々と理解する事(考える事)に時間を費やしていると、通りがかった同級生が「そんな事に時間をかけて馬鹿じゃない!公式は暗記すれば良いでしょ。考えるのは時間の無駄だ」と私に言うのです。あれから長い歳月が流れ、ようやっと同級生が言うことも、卒研生の言うことも理解出来た様な気がします。実はこの高校時代の話にはオチがあります。同級生からの「馬鹿じゃない」発言から数ヶ月後、大学入試模試があり、物理の問題としてドップラー効果の原理に関連した考えされる問題が出題されたのです。物理の教員の後日談によると、この問題に正解したのは私だけだったそうです。大学入試本番で出題された物理の問題も、難易度の高い問題で、噂ではほとんどの同級生が苦労したそうです。そんななか、「私は物理満点」と両親に報告し、無事、合格し今に至っています。

本当に時間の無駄だったのか?

物理の法則を深く考えることに時間をかけた私の高校時代ですが、本当に時間の無駄だったのでしょうか?私が、科学者として世界の第一線で活躍できているのは、考える事に時間を費やしたからだと自負しています。

しかし、学生達はこう話を続けます。

自分は科学者は目指していない。良い大学に入って、良い就職先に就職できれば、人生安泰。安泰な人生を手に入れる事が一番大事なんだ、と。

安泰って何なんでしょうね?安泰な人生については、また今度議論しますね。

人生は判断の連続

人生って選択とその判断の連続だと思います。子供のうちは、判断を他人(親を含む)に委ねることが多く、他人に委ねさえすれば、判断が間違っていたとしても、その責任を他人に押しつければ良いので、判断の重さを実感できないかもしれませんね。でもよく考えてみてください。物理の公式を暗記するか、それとも理解する事に時間を使うかの選択だって、判断ですよね?その判断の根拠が何であれ、暗記することに徹すると判断し選択したのは、その人自身です。

他人の判断に人生を委ねるのか?

他人の判断に全てを委ねた人生って安泰なんですかね?だったら、ああしなさい、こうしなさい、言うことを聞きなさい、と親や先生に言われても、反抗できませんよね。でも、多くの学生が、言いなりは嫌だと反抗する。だったら、自分で判断して選択する人生を歩んだらどうですか?

自分で責任を負いたくない事は他人に判断させ、都合の良いときだけ自分の勝手だと反抗する。そんなの、身勝手にもほどがありませんか?

判断するには考える力が必要

今の大学生はデジタルネイティブ世代だと言われています。(ちなみに、世代は違いますが私もデジタルネイティブです。特殊ではありますが、物心ついた時には、コンピュータもネットも身近にあり、それらをおもちゃにして育ちましたから。)私の目には、デジタルネイティブ世代は、ネット上にある情報に頼りきった世代だとうつっています。大学入試で暗記したことは、ただ暗記したことなので、すっかり忘れてしまい、考える力が無いので、学んだ事を応用して考えることもできず、レポート課題の答えをネットで探し、鵜呑みにして丸写しする、そんな世代ですね。だから、ネット上に書かれていることの正否も判断できない。判断しようとしないのかな?それとも、判断できないのか?

判断するには考える力が必要なんですよね。だから、結局、身につけるべき力は、考える力が一番重要なんです。だったら、暗記することに時間を費やすより、考える事に時間を費やした方が良いのだと私は思います。

だって、高校時代を暗記することばらかに時間を費やした結果、考える力も養えず、暗記したことはすっかりわすれてしまう訳ですから、とても無駄な時間だったと言えません?「でも良い大学に入れたじゃないか!無駄じゃない!」と反論します?でもさ、その良い大学も学部や学科も、考えずに決めたでしょ?適性が無い学部学科に進んでも、大変な思いをするのはその人で、大変な思いをした割には単に卒業しただけになり、そんな4年間って無駄なような気がしません?いえいえ、良い会社に入れたんだから良いんですって?うーん、延々と堂々巡りのように私には思えます。だって、良い会社って誰の判断ですか?他人様の判断であって、自分の人生が歩める会社かどうかは判断してないでしょ?

自分で考え判断し、そして自分の人生を歩む

ある学生さんが国際会議で発表するチャンスを得たときの事です。こんなご時世ですし、早めに保護者から海外渡航の許可を得ておいてくださいね、とこの学生さんには伝えていました。しかし、この学生さん、まさか自分の親が海外渡航に反対するなんて思いもしなかったのでしょうね、それまで「頑張ります」とやる気満々だったのに、渡航するか否かの最終判断をする時期になって突如、「親が反対するので行かない」と言い出したのです。それ以降、この学生さん、何もかも投げやりで。。。

親が反対する理由はコロナ感染が怖い

うーん、「海外渡航はコロナ感染が怖いからダメだ」なんて、このご時世にネット上に書いて良いのだろうか?と正直判断に迷うくらい、「不適切な発言」ですよね。

何をもってこんな判断したのか?そして、20代半ばにもなって、自分では判断せず、他人の判断をうのみにしてただ従うだけってね。

きっと、この学生さん自身も、違和感を感じたから、やる気を喪失したのではないかと思うわけです。

可愛い子には旅をさせよ

判断を間違っていいじゃないですか。旅先で失敗しても良いじゃないですか。その結果、考える力と判断力がつけば。だから昔から、可愛い子には旅をさせよ、というんでしょ?人生長いんです。その人生を自分で考え判断し、自分自身の人生として歩むことこそが一番重要なことなのではないかと。

2023年8月18日 (金)

松永研の学生さんの受賞報告です。

2023年4月17日にハイブリッド開催(※)された、IEEE MTT-S/AP-S Midland Student Express(中部地区学生発表会)において、松永研の本間代典さん(M2)がIEEE AP-S Midland Student Express Award(アンテナ・伝搬に関する最優秀賞)を受賞しました。

※対面会場:ウインクあいち(名古屋市)

本学生発表会は、IEEE MTT-S および AP-SのNagoya Chapter(東海・北陸を含む中部地区)が主催し、毎年4月と12月に開催しています。ここ数年はCOVID-19の感染拡大の影響で開催中止やオンライン開催が続いておりましたが、2023年4月は対面とオンラインで発表・参加が可能なハイブリッド開催いたしました。

中部地区(静岡県、愛知県、三重県、福井県、石川県、富山県、岐阜県)の大学や高専に在籍する学生さん15名が、マイクロ波やアンテナ・伝搬に関する研究成果について発表を行いました。また、発表はIEEE MTT-SおよびAP-SのNagoya Chapter役員を中心とする審査員により厳正なる審査が行われ、アンテナ・伝搬に関する研究発表を行った松永研の本間代典さんがIEEE AP-S Midland Student Express Awardを受賞しました。また、マイクロ波に関する研究発表を行った名古屋工大の学生さんがIEEE MTT-S Midland Student Express Awardを受賞しました。

本間さんは「Multi-Stage Tapers Suppressing Sidelobes and Beamwidth Fluctuations of Vivaldi Antennas」と題し、生体イメージング技術で有用されているビバルディアンテナの放射特性を広帯域にわたって改善する手法についての研究発表を行いました。提案手法により、イメージング技術の高性能化が期待でき、生体イメージングのみならず、電波観測においての応用も期待されています。

本間さんは、M1から松永研で学んでいますが、並々ならぬ努力の結果、このような結果を得る事ができました。大手有名企業から内定を得ており、2024年3月に修士課程を修了予定です。現在は修士論文の作成とともに、得られた成果を学術誌論文へ投稿すべく日々努力を重ねています。

Mse2023_homma 研究室前で賞状を手にする本間さん

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賞状

2023年4月 5日 (水)

久々にアメリカで開催される国際会議へ出席できる予定です。

私が所属し主な活動の場としているIEEE AP-S(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Antennas and Propagation Society)のメインの国際会議である、2023年IEEE AP-Sへ投稿していた国際会議論文が採択されました。今年の7月にオレゴン州のポートランドで発表予定です。

いやぁ~最後に渡米したのが2020年の3月ですから約3年ぶりです。その間開催された国際会議にはオンライン参加でしたから、本当に久々の国際会議への現地対面参加となります。

もともとITオタクで、オンライン大好きの私ですから、コロナ禍における様々なデジタル化は大歓迎+大助かりでした。やっと時代が私に追いついてきたのか?とも思いましたが、さすがに、国際会議だけは対面参加でしか得られない事が多く、ようやっとといった思いです。

肝心の発表内容ですが、プログラムが発表された後に再度お知らせしますね。

とはいえ、久々のヒットだと思っております!つまり、小型アンテナの定番となるアンテナになると確信しています!詳細は、本国際会議に限らず、学術雑誌にも順次掲載していく予定です。乞うご期待!

本国際会議論文は修士の学生さんと共著です。学生論文賞や、海外渡航費助成へも応募中ですので、その結果についても順次お知らせしていく予定です。

IEEE AP-S/URSI 2023のホームページ

2023年3月23日 (木)

4名の学生さんが卒業しましたので報告します。

春ですねぇ~巣立ちの時期です。

松永研から卒業した4名の学生さんをご紹介します。

202303左から山田君、小林君、松永、関森君、杉山君です。

  • 山田君:ある会社のRFID事業部に内定をもらっています。RFIDの研究がしたいです。とはっきりと希望を述べて松永研の門をたたいた山田君。毎日、朝から夕方までしっかりと自分で決めたスケジュールで卒業研究にのぞみました。それならば、としっかり基礎からたたきこみました(笑)。ちょっと大変だったかもしれませんが、これから良い物作りをしてくださいね。
  • 小林君:本人曰くいろいろとあって、研究室へ配属された当初は大丈夫かな?と思いましたが、希望の職種・業種に就くことができ、良かったですね。そこからはとても落ち着きのある毎日でした。研究の進め方も徐々に良くなり、最後には、従来の問題点を解決できるものができました。これから携わる業務にもこの知識と経験がいかされることと思います。
  • 関森君:野球部の関森君。最後の試合まで野球を頑張りたい!8年ぶり3度目の全日本大学野球選手権に出場したことから6月までは卒研との両立で大変でしたね。結果的に、野球も卒業研究も満足のいく結果が得られて良かったです。ビームステアリングできた時の感動を忘れないでくださいね。
  • 杉山君:進路のことでいろいろありましたが、持ち前の人当たりの良さと明るさで乗り切れて本当に良かったです。これからも周囲の人を明るくするムードメーカーでいてくださいね。研究は地道なものであることに気付いてからの努力はすばらしかったです。発表も高評価で良かったですね。

今年は、このような顔ぶれの学部4年生が巣立ちました。4月には新しい4年生が松永研の門をたたきます。どんな学生さんがくるのかとても楽しみです!

2023年2月15日 (水)

学生さんに関する報告です

最近、まとめて複数投稿するようになってしまい申し訳ないことです。定期的に更新出来るようにしたいな、と思う今日この頃です。

2023年2月15日は卒論発表会でした。松永研のB4生4名が発表会へのぞみ、無事卒業論文の単位を取得することができました。

発表者氏名と卒論タイトル及び概要は以下の通りです。

  • 関森絃太 「直列給電マイクロストリップアレーアンテナによるビームステアリングの検討」
    • アンテナから放射する電波ビームをステアリングさせる新しい技術です。並列接続したアレーアンテナよりもコンパクトです。近々国際会議と学術誌論文として発表予定です。
  • 山田雅也 「金属対応ICタグ用マイクロストリップアンテナの検討」
    • バーコードに代わる商品管理システム機器であるRFIDのアンテナに関する研究です。標品管理を担うには、金属製の物品にも使える必要がありますが、電波は金属の影響を多大にうけるため、なかなか難しいのです。この研究を基礎に、松永イズムが感じられる画期的アンテナが発表される日も近いことでしょう。
  • 小林義和 「人工磁気導体を用いたKa帯クロススパイラルアンテナの航空機搭載応用」
    • 松永が過去に発明したアンテナであるクロススパイラルアンテナをミリ波隊に応用しました。金属が近接しても性能が維持できるように、人工磁気導体も搭載しました。
  • 杉山彰 「UHF帯マイクロストリップアンテナの小型化の検討」
    • マイクロストリップアンテナ(通称パッチアンテナ)って、UHF帯(昔のテレビのUチャンネル)では大きすぎるんですよね~小型すると性能が落ちるし。。。という訳で、いろいろと試してもらいました。基礎的な研究ですが、とっても大事な検討です。

202302

2022年12月31日 (土)

はやいもので、今年も年末となりました。(今年は令和4年、西暦2022年です)

今年も多くの方と出会えましたこと、そして多くの機会に恵まれましたことを感謝申し上げます。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、対面でお話しする機会が激減しておりましたが、多くの方々と、はじめまして、や、お久しぶりです、と言葉を交わしながら対面でお話することができました。特に、異分野で活躍される方々と、知識を共有できましたことが今後につながっていくと実感できる1年でした。

名刺交換をしてくださった方々の中には、私のこちらのホームページを閲覧し、私のつぶやきを丁寧にお読みくださった方々も多くいらっしゃいました。本当に有り難い事で、感謝です。来年は、頑張って更新していきたいと思いますので、思い出したら閲覧してくだあいますと幸いです。

※なお、セキュリティ強化の為、Google等の検索エンジンを使って「松永真由美」を検索しても本ホームページはヒットしない設定にしています。静岡大学などの研究者情報Webに掲載の本ホームページのURLリンクからたどってください。

学内イルミネーション

12月になると、学内の木々をLED照明で彩る学内イルミネーションが始まります。国立大学の場合、広報不足もあって、このイルミネーションの企画意義が理解されていないのが現状です。そのこともあり、今日はこの学内イルミネーションについて書きたいと思います。

私が静岡大学に移動したのは2021年4月ですから、それ以前の事は知りませんが、昨年12月頃もLEDイルミネーションが静岡大学浜松キャンパス構内を彩っていました。その頃、学生さんにこんな事を言われました。「あれって何なんでしょうね?何故あのような事にお金をかけるのか理解できない。無駄だと思うのですが」といった内容の言葉をかけられたのです。

【写真】2022年12月の静岡大学浜松キャンパスイルミネーション↓

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このイルミネーションは、「コロナ禍にあって、早期の終息と学生、教職員のみなさんの心が温まるよう、浜松工業会様(同窓会組織)の助成を得て今年もイルミネーションの点灯を行うこととなりました。」とのことです(事務方からの連絡を引用)。

【写真】そういえば、2017年4月から2021年3月まで私が勤めていた大学も学内イルミネーションを実施していました。↓

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こちらは企画意義は公表されていなかったように記憶していますが、この時期学内を歩いていると、「あ~あ、この設置費用に高い授業料が使われている。こんな事に使って欲しくないよな~」と大きな声を出す学生さんもちらほらいました。

きっとですが。。。

新型コロナウイルスが蔓延したり、経済状態が悪化したり、気持ちがすさむ今日この頃、暖かな光が少しでも人々の心を柔らげる助けになれば、との願いを込めたイベントなのでしょう。そういう意味では、お金の事が気になる人々にも、「何これ?」と「疑問」という刺激を与えたことになるのかもしれませんね。

お金が何に使われるのか?それが気になって仕方なく、これを「無駄だ」と思ったのであれば、あなたの力で「有益」なことに変えてはどうでしょう?(ちなみに、私は賛成派でも反対派でもありません)

電気電子工学科の学生さんや研究者であるのならば

  • LED照明に白が多い理由
  • LED照明から発生する電磁波ノイズとその影響
  • 光が人間の心理へ与える影響と効果
  • LED光により化学変化をもたらす物質(つぶやき:ジェルネイルを読んでね)

などを考えて勉強すると、有益な時間になるのではないかと私は思います。

それでは皆様、今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします!

2022年12月28日 (水)

学生さんへ向けてのメッセージです。

緊張症を言い訳にしないで!

中間発表を終えて(詳細は、学生活動:中間発表2022を)学生達と反省会をしました。

良かったところも明確にする必要がありますが、改善すべき点を皆で議論し、これからにいかす事が重要です。何故改善すべき点が発生したのか?どうすれば改善するのか?今後改善を図るにはどのような努力が必要か?などについて皆で議論します。

学生達にとって、改善すべき点の指摘は、ダメだしに相当しますので、受け止めるのが難しい学生さんも多くいます。「自分なりには理由があったのだ」と理由を並べ立て、自分の正当性を主張する学生さんもいます。うなだれて「自分はダメだ」と落ち込む学生さんもいます。「先生が言ってるだけで気に留める必要はない」と背を向ける学生さんもいます。しかし、こんなことをしていると成長は見込めないのです。

改善すべき点を明確にし、そして、どうやって改善していくかを考えるのが成長だからです。

中間発表の様に人前でのプレゼンテーションを伴う審査を通じて、改善すべき点を指摘すると、決まって「緊張していたから」と言い訳する学生さんがいます。今日はこの「緊張」を言い訳にしても何も解決しないことを説明したいと思います。

まず申し上げたいのは、ここでお話する「緊張していた」と言い訳する学生さんですが、制限時間内に、途中でたじろぐ事も無く、研究内容について発表していますし、質疑応答にも、黙り込むこともなく自分なりには回答しているのです。本人の心理状態としては緊張は伴っていたのかもしれませんが、気絶したり、何も言葉が出てこなくなったり、といった緊張状態は全く見受けられない場合の話です。

あそこで何故あのような質問が出たのかな?その質問の意図は理解していた?あの返答で質問者は納得したとかな?

と問うと

緊張していたので分かりません。緊張していたので覚えていません。緊張していたのであのような返答をしてしまいました。緊張していたので。。。。

これって「緊張していた」を理由にして、向き合うべき問題を避けているだけなんです。

「緊張していた」を言い訳にする学生さんに私は問いたい。「緊張が改善すれば、あなたの発表内容から改善すべき点は無くなるのですか?」

緊張感は良い物ですよ。集中力が高まりますし、日頃よりも力が出る場合もあります。

緊張を言い訳に利用せず、改善すべき点を受け止め、成長して欲しい

2022年12月27日 (火)

皆様、「ジェルネイル」をご存知ですか?

また、ネイルアートの一種だとご存知の方も、その原理をご存知ですか?

工学部電気電子工学科の電磁波研究室のホームページで「ジェルネイル」?と思ってらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、そう短慮に判断せず読んでくださればと思います。

最近は日本でも爪のお手入れを欠かさない人が男女ともに多くなってきました。ネイルサロンへ行くと、男性のお客様が爪をピカピカに磨いてもらっている姿もよく見かけるようになりました。

私もネイルサロンでは主にネイルケアといって、お手入れを重視する施術を受ける事が多いのですが、たまにはカラーリングやネイルアートを楽しみたいと思います。

しかし、マニキュアはすぐに剥がれてしまいます。特に、実験を通じて手先を使った細かな作業をしたり、重たい測定機器を設置したりすることが多い私の場合、マニキュアはあっという間に無残に剥がれ落ちます。そんなマニキュアに代わり約2010年頃からでしょうか、「ジェルネイル」というものが流行だし、よくお勧めされるようになりました。今では多くの方が毎月のようにジェルネイルを楽しんでらっしゃる様子。私も体験したいなぁ~と思っていました。

新しものが大好きで、良い物は誰よりも早く体験したい私が、珍しく手を出さなかった「ジェルネイル」。理由は簡単です。ジェルネイルという名前からは、その原理が全く分からないからです。ネット検索をかけても、原理の詳細を説明をしているページはなかなか見つからない。単に、マニキュアより長持ち!早く乾くので施術時間が早い!綺麗!って書いてあるばかり。。。

そんな私にようやっと「ジェルネイル」の謎が分かる出来事が訪れました。

ジェルネイルとは、光硬化性樹脂だったのです!

主に、紫外線や可視光が使われているようです。(ここで電磁波との関連性が出てきましたね!)

この光硬化性樹脂、工業分野では大活躍。例えば速乾性の接着剤や3Dプリンターの造形樹脂としても使われています。最近は、歯科治療でも歯の修復や補強にも頻繁に使われています。

「ジェルネイル」なんて呼ばずに、「光硬化性樹脂」だって言ってくれれば、すぐに理解できるのに~と思った私。まぁ、ちまたでは、そんな名称で売り出しても売れないかもしれませんね、笑。

納得すると、早速興味がわき、年末年始だし、体験してみることにしました。

実際、爪に与える影響は気になるのですが、その速乾性といい、その発色といい、剥がれにくさといい、マニキュアとは全く違う、全くの別物です!(そもそも物性が違うので別物なのですが。。。)

爪も強化されているせいで、いつものように重たい測定器を設置したり、細かな作業をしても、爪が割れない。

これで、爪への化学的影響と、取り除くときの手間が無ければ最高なんだけどなぁ~とすぐに思いました。だって、現存の光硬化性樹脂は一旦硬化すると、液体には戻らない不可逆な硬化過程ですから、剥離は困難なのは常識。ネットでネイルサロンにおける硬化した樹脂の剥離方法を調べても使用する詳しい薬剤もその原理も書いてない。。。

いやぁ、ジェルネイルに限らず、何においても、使用する薬剤とその原理について自分なりに理解した上で利用したいですね。

いろいろな事を勉強し、それを自分なりに理解する能力に使う事ができれば、トラブルを避けることができたり、トラブルを解決したりできますよ!

私の場合、ジェルネイル一つにしても、素晴らしい技術に触れる楽しい機会です!

2022年12月26日 (月)

M1(大学院修士課程1年生)の中間発表が無事修了しました。

修士課程学生に対する中間発表(M1対象)は実施する大学としない大学があります。最近は、多くの大学で実施しているようです。その理由は、研究室活動を実質化するためです。

工学部をはじめとする多くの理系の学部学科では、大学院の学生は研究室に所属し、所属した研究室が進めている研究活動に参加しながら高度な専門的知識と経験を積みます。工学部の人々は「研究室活動」と呼びます。ちまたではゼミと呼ぶ人のいますが、日本の工学部ではゼミとは呼びません。

大学院生の主な活動は、この研究室活動です。研究室活動を通じて得られた成果を論文にし、この論文内容が各課程(※1)の合格基準に達していなけえば、課程を修了(卒業)することができません。

一昔前(2000年頃)までは、この常識(大学院生というのものは各課程の論文(修士論文もしくは博士論文)を執筆するのが主な仕事であり、論文を書くためには、自主性をもった研究活動を行い、独自性のあるテーマで、学術的に新規的かつ重要な研究内容について、学術誌掲載レベルの論文執筆技術を持たなければならない)が分かっている人が大学院に進学する事が多かったので、毎日研究室へ通い、日々研究室活動に勤しむことは当たり前でした。

しかし、2010年頃から諸般の理由で、この常識が大学院生にとって当たり前ではなくなり、研究室活動を授業の一環として時間割に組み入れたり、成績評価を実質化したりする必要性が高まりました。中間発表も、一般的に2年間でプログラムされている修士課程の1年目の成績評価のために、多くの大学で実施されています。

この諸般の事情の中には、学生さんの意識(保護者の意識も含まれる)への働きかけが大きいと思います。時間割に組み入れられていないと、「何故、研究室へ毎日通い勉強する必要があるのか?」と思う学生が増えてきたからです。このような学生は、大学学部1年生の頃と同様に、授業だけ出席し、それ以外の時間は全てアルバイトや趣味などのプライベートな時間として過ごしてしまい、2年経過した頃に「修士論文を提出してください。提出しないと課程を修了(卒業)できませんよ」と言われ、そこで初めて、前述したようなプライベート時間ばかりの大学院生生活を送っていると、課程が修了できないことに気付くのです。とはいえ、授業レポートと同様に一晩徹夜すれば書けると気楽に考えている学生さんもいますが、一夜漬けのレポートで合格できるほど甘い審査ではありません。

前置きが長くなりましたが、中間発表は、学生さんが計画的に2年間の研究活動を進める為にあるのです。計画的に進んでいるか?1年目の経過として2年目に卒業できる見込みが立つか?などを実質的に評価することで、前述したように、2年もの時間をほぼプライベートに過ごし、終盤になって「あれ」ということにならないようにするのです。

松永研の3名のM1ですが、それぞれに1年間の努力が結果に表れた発表となりました。今日からが修士課程の折り返しです。丁度1年後には修士論文の提出と発表があります。そこへ向かって頑張ってください!

※1:ここで各課程とは、修士課程(博士前期課程)と博士後期課程の事を指します。大学院へ進学する多くの学生さんは、修士課程の修了および修士号の学位取得をもって企業等に就職しますので、一般的に大学院卒業と言えば、修士課程修了を指しています。大学の先生など、より高度な知識を必要とする職業に就くには、博士後期課程を修了し博士号の学位を取得する必要があります。ちまたでは、あそこのお子さんMBAを持ってらっしゃるんですって、とか、私はMBAを持っている、と誇らしげにおっしゃる方をみかけますが、このMBAとはMaster of Business Administration の略で、経済学の修士号のことを指します。ですから、この学位をお持ちの方々は、経済学に関する大学院の修士課程を修了されたということになります。