2022年10月19日 (水)

学会発表:アンテナ伝播研究会

ようやっと行動規制も緩和され、学会や研究会も対面で開催されるようになりましたので、学生さんと電子情報通信学会アンテナ伝播研究会へ参加しました。10月の本会は、学生さんのポスター発表の場と、学生さんと企業さんとの交流イベントが提供されるため、就職活動を始動する修士1年生が松永研からは例年参加しています。今年は修士1年3名がポスター発表を行いました。

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「百聞は一見にしかず」という諺もありますが、発表資料等について先生がいろいろと助言をするより、多くの人々へ発表を聞いてもらい、そして直に人々の反応を目にし耳にし感じる方が、多くの知識と経験につながるようです。

今回は、3人とも新規アンテナの提案に関する発表を行いました。発表タイトルは以下の通りです。

  1. ビバルディアンテナのサイドローブをより広帯域で抑制できる多段テーパ(本間代典・松永真由美)
  2. 広帯域で単一指向性を有する無給電素子付ボウタイアレーアンテナ(足立雅樹・松永真由美)
  3. RFICと整合するUHF帯二重ループアンテナ(金森拓海・松永真由美)

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1は、電波天文学用の広帯域な平面アンテナに関する研究成果です。各種イメージング技術にも応用可能です。まだまだ改善点や課題がありますが、SKA計画の様に膨大な数のアンテナを用いる観測機器においては、設置や製造が容易な簡便構造のアンテナが求められていることから始めた研究内容です。

2は、乳がんなどの生体イメージングへの応用を目指したイメージング用の薄型広帯域アンテナに関する研究成果です。生体イメージング技術の開発は、シグナルプロセッシング技術やデータ処理アルゴリズムの開発の方に興味が注がれる事が多いのですが、アンテナの高性能化や小型化も重要なキーテクノロジーです。イメージングにおける解像度はアンテナのビーム幅や帯域に依存します。また、アンテナが大きくなれば装置が大型になってしまいます。これらの問題を解決することを目指した、アンテナです。

3は、最近注目度が急上昇しているRFIC(Radio Frequency Integrated Circuits)と組み合わせが容易なアンテナに関する研究成果です。RFIC技術として最も身近な技術はRFID(Radio Frequency Identification)です。皆さんが通勤通学で毎日利用している交通系ICカードに用いられている技術ですね。実は従来、アンテナの入力インピーダンスは50オームで設計していました。一方、ICの入出力端子におけるインピーダンスは50Ωとはかけ離れています。つまり、そのまま接続してしまうとアンテナとICの接続部におけるインピーダンスの不整合に起因した損失が発生してしまうのです。従来は、インピーダンス整合回路をアンテナに取り付けることで解決していましたが、アンテナ自身のインピーダンスをICに合わせることで解決しようとしています。RFIDタグへも応用が可能な小型で高効率のアンテナができました。

次の学会や論文発表へ向け日夜努力を続けています。次回の発表をお楽しみに!

緊張しながらポスター発表に臨むM1メンバー

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